V系シーンを彩る音楽アーティスト・LIPHLICH

LIPHLICHという音楽アーティストをご存知でしょうか?

2010年に結成された彼らは2度のメンバーチェンジを経て、現在はボーカルの久我新悟、ギターの新井崇之、ベースの進藤渉、ドラムの小林孝聡の4人で活動しています。彼らはヴィジュアル系ロックバンドに分類されますが、シーンでも異彩を放つ存在です。

LIPHLICHは「リフリッチ」と読みます。耳慣れない語感のこの名前は、ボーカルの久我新悟により、ロック・ミュージカルの「ロッキー・ホラー・ショー」に登場するRiff Raffから名付けられました。本当はそう名乗る予定だったのが、実際ステージ上で名乗る時、ボーカル久我の口から出たのはLIPHLICHだった、とのことです。その名の由来の通り、彼らが奏でる楽曲はミュージカル、あるいは映画のような物語仕立てのものが多いです。

その印象を強くしているのが、ミュージカルビデオの存在でしょう。ホステスの恋を示唆するような「Ms.Luminous」、アンダーグラウンドな雰囲気の「MANIC PIXIE」や「HURRAH HURRAY」、見世物小屋を模した「サイド・リブラの場合」など、楽曲と併せることでその世界観を深めています。またCDケースの裏カードには、久我による楽曲に絡めた散文詩が記されています。さらに以前の楽曲とのつながりやアンサーソングなのでは?と思わせるような曲がアルバムに収録されることもあり、これらによってオーディエンスの想像を掻き立てるのも彼らの魅力の一端です。

またライブハウスだけではなく劇場、船上や空港併設のホールなどでライブを行う彼らは、それぞれの会場に併せた演出を行っています。加えて毎年8月2日には、ベースの進藤渉によるプロデュースで、「ジェンダーフリー」と銘打たれた、普段とは違う装いでのライブが行われています。

ファンを「ウェンディ」と呼び、「まずは浮気から始めてみませんか」と呼びかけ、ケレン味たっぷりに独自の世界観を歌い上げる。LIPHLICHとは、プロフィールに記されている「エンターティメントロックバンド」という呼称も過剰ではない多彩さを見せてくれる音楽アーティストです。