音楽アーティスト世良公則の軌跡と人気の秘密

日本のロックを語る上で、忘れてはならないのが稀代のロック・ボーカリスト世良公則です。1977年、大学の友人たちと組んだロックバンド、世良公則&ツイストで、ヤマハポピュラーミュージックコンテストと世界歌謡祭に出場すると「あんたのバラード」が見事にグランプリを獲得します。その後、プロ志向のメンバーへの交代を経て、メジャーデビューを果たすと出す曲が全てヒットを記録し、わずか1年足らずで日本の音楽会の頂点に君臨することになります。

もちろん、ツイストのメンバー一人ひとりが優れた音楽アーティストであったことに違いはありませんが、何と言っても世良公則のワイルドな歌唱法と、マイクスタンドを使った派手なアクションが強烈すぎるインパクトが、お茶の間レベルにまで浸透したことが、彼らをトップスターへと導いたのです。

「あんたのバラード」に始まり「宿無し」「銃爪」「性」など、日本歌謡界に歌い継がれる永遠の名曲を発表し続けていくのです。また、世良公則は俳優としても「太陽にほえろ!」に1984年から2年間にわたりレギュラー出演を果たします。

それまで、アイドルではない男性ボーカリストの代表格は、沢田研二ただ一人という状況で、世良公則の出現は新たな幕開けを感じさせるには、十分すぎる出来事だったのです。世良公則の出現と前後して、原田真二やチャー、甲斐バンドなどのロック・アーティスト達がヒット曲を連発しますが、世良公則の活躍がなければ、これほどまでにシーンが盛り上がることはなかったかもしれません。

そんな世良公則もデビュー40周年を迎え、ますますロック・ボーカリストとして円熟味が増してきました。世良公則の魅力は、その歌唱法と派手なアクションになりますが、ただ単に叫ぶのでなく、聴かせるところとシャウトするところを使い分け、その楽曲が持つパワーを最大限に活かす唱法へと進化しています。60歳を超えても、なおセクシーな音楽アーティスト世良公則に要注目です。