音楽アーティストが奏でる新たな音楽の融合

クロスオーバーミュージック黎明期、ジャズミュージシャンは様々な実験的手法を用いて、新たなジャンルの境界に挑もうとしていました。結果、のちにフュージョンとしてひとまとめに紹介される整理されたバンドよりも、よりスリリングな展開の音楽が生まれ、事実多くの名盤がこの時期に発表されました。

クロスオーバーミュージックの台頭は、ジャズ側のミュージシャンがロックサイドのミュージシャンにアプローチしたのがきっかけになっています。当時のロックはまだ混とんとしていて、ジャズに限らずクラシックや民族音楽などを取り入れたバンドも多く存在し、実験的なバンドも多数存在していました。ほとんどのバンドがのちにプログレッシブロックに分類されるバンドですが、その大多数は異なる音楽の融合を試みていました。

多くの音楽アーティストはこの後、フュージョンとして成長する音楽を必死で築き上げようと試行錯誤を繰り返します。プログレッシブロックはさらにクラシックの手法を取り入れたり、バロック的な音楽の引用などを挟み、独自な進化を遂げ、フュージョンとは別の新たな音楽を展開するようになりました。プログレッシブロックの特徴は曲の展開がドラマチックでメロディーが優れており、曲が長めであるにもかかわらず決して退屈にならない構成の美しさです。

音楽アーティストはキャリアを積み重ねるにつれて、特にギタリストはテクニック至上型になるケースが多々あります。このため解釈が複雑になりがちで音数も多くなり、一般の音楽ファンには敷居の高いものになりがちです。ロックギタリストの多くはこの複雑になりがちな部分をポップにまとめて、多くの聴衆に訴える名盤を残しています。現在ではさらにハードロックも進化してプログレッシブな傾向のバンドも多く、演奏の技術もジャズやフュージョンのミュージシャンにも引けを取らないセンスを持ったアーティストが増えてきました。今後様々な音楽の発展の中で、世代を超えた音楽アーティストたちの共演の中で、新たな音楽の融合が始まるかもしれません。