詩の中に見える言葉を紡ぐ音楽アーティスト

詩人は限られた言葉の中で端的に物事や事象を語り、シンガーは歌うことで詩を紡いでいきます。

音楽アーティストと詩人の共通点は多々あるものの、韻を踏むことでのリズミカルな響きは詩人の言葉の選び所です。文学的に言葉を並べても歌うことは難しく、シンプルな単語を読み続けても意味を探ることは難しいはずです。シンガーソングライターの作詞方法はアーティストにより千差万別で、どれも個性にあふれています。

アーティストは常にピュアな感性を持っていて、創作意欲に満ち溢れています。才能を磨き上げれば、パソコンの前に座っただけで言葉が奔流のようにあふれ出して、ひとつの詩が出来上がります。音楽アーティストにとっての言葉は歌えることに必要な言葉です。それでも60年代のフォークシンガーは難解な語句を選び、世の中の不幸や平和や愛の歌を歌い続けました。名曲の数々にも多くのジレンマが潜み、時とともに色褪せたり忘れ去られたりする曲もあります。スタイルを貫くのは難しいことですが、様々に変貌を遂げて伝説と化すミュージシャンもいます。どのような状況であっても、歌い続ける姿勢を崩すことができないのがシンガーです。空想や創造や幻覚、現つから逃避する文学も成り立っていますが、演奏を続けながら旅に出るミュージシャンは広い世界を目の当たりにします。

詩人も旅に出ることで広い世界を見聞し、新しい言葉を見つけるのです。文学において詩の世界は様々な解釈ができる自由な世界です。この自由の世界に曲がつくことで、言葉は翼をもって自由に飛び回ることができるようになります。アーティストの解釈で言葉は明るくもなり暗くもなり、同じ言葉なのに楽しくなったり悲しくなったりするのは、作者の優れた創造力の成果です。伝説のアーティストが、今なお現在の世界で異彩を放ち続けることができるのは、言葉を疑わなかったことの結果なのです。多くの人々は名曲の言葉がどのように選ばれたかを考えもせずに、聴いたり歌ったりできるのは、そのアーティストの才能によるものなのです。