音楽アーティスト桑田佳祐のシリアスな歌詞に込められた想い

桑田佳祐サザンオールスターズでデビューしてから30年以上もの長きにわたり、日本のミュージックシーンを走り続けてきた音楽アーティストです。デビュー曲「勝手にシンドバッド」のタイトルは、当時流行していた沢田研二の「勝手にしやがれ」とピンクレディーの「渚のシンドバッド」を合体させたものだったことから、大ヒットは記録するものの「一発屋」「コミックバンド」と囁かれていました。しかしながら、3枚目のシングル「愛しのエリー」が大ヒットすると、桑田佳祐の非凡な才能が多くの人々に認められるようになります。


その後、ソロやKUWATA BANDなどでも活躍し続ける桑田佳祐ですが、楽曲だけでなく反戦や平和を唄った歌詞にも注目が集まっています。例えば1982年に発表されたアルバム「NUDE MAN」に収録された「流れる雲を追いかけて」や翌年に発表された「綺麗」に収録された「かしの樹の下で」は中国残留孤児をテーマにしています。さらに1985年のアルバム「KAMAKURA」には従軍慰安婦をテーマとした「悲しみはメリーゴーランド」が収録されています。また、その極めつけは2013年に発表された「ピースとハイライト」では自衛隊問題が扱われています。


こうした桑田佳祐の詞は、時として物議を醸しだすことも少なくありませんが、その根底には日本だけでなくアジア全体の平和を願う純粋な想いであることは間違いありません。桑田佳祐は自らが音楽アーティストとして、世間に対して多大な影響力を持っていることを知っています。それだけに、自身が発表する楽曲において多くの人々がアジアの様々な問題に目を向けてくれることを願っているのです。桑田佳祐の魅力は、このようなシリアスな面と「勝手にシンドバッド」に代表されるコミカルな面を合わせ持つところです。次の作品がシリアスなのかコミカルなのか、それとも全く異なる路線なのかわかりませんが、いずれにせよ桑田佳祐の魅力に溢れた作品であることは間違いありません。