スタンダードジャズに見る音楽アーティストのアドリブ

スタンダードジャズで取り上げられる多くの名曲も原曲は非常にシンプルです。わかりやすいメロディやコード進行にジャズ特有のテンションを加えることで、いわゆるジャズ的な響きを得ることができます。曲の素材がブルースであっても非常にジャズ的な響きになるのはこのためです。

ジャズ畑出身の音楽アーティストはスタンダード曲の演奏を繰り返すことでその手法を学んできました。ジャズのしがらみを抜けることでオリジナリティを発見してきたわけです。長いアーティスト人生を続けている人は様々な音楽から刺激を受け、たくさんの名曲を残しています。中には気の迷いが見られる楽曲があっても、ほとんどの曲にアーティスト本人が醸し出すフレーバーを感じることができます。音楽アーティストのほとんどの人が手法はともかくジャズを学んでいます。学んだ知識を拡張してさらに深みを加える人もいれば、まったく表面に出さない人もいます。

ジャズの演奏手法は間違いなくミュージシャンを成長させる要素があり、ジャズの方法論を学ぶことは重要です。ありきたりの演奏の中に自分を出すことは演奏の中で表現するトレードマークです。自分なりの表現ではなく自己主張の強い人は、大なり小なりジャズに傾倒していた時期があったと考えて差し支えありません。ジャズへの傾倒はたぐい稀なテクニックを身に着けるには非常に重要です。ギタリストであれば正確なピッキングを身に着けることは必須ですし、ジャズで頻繁に使用されるアコースティックタイプのエレキギターは弦のテンションも非常に高く、ごまかしのきかない構造になっています。

様々なスタイルの音楽に接した後に自分が見つけた音楽こそが生涯を共にする伴侶になるはずですし、自分が求め続ける永遠のテーマになるはずです。優れた音楽アーティストの表現に少しでも自分にないものを発見したら、時には違った音楽に接してみることが大事です。ジャズを聴くと新たな発見に必ず出会います。