音楽アーティストという呼び名に思うこと

音楽アーティストというと、なんだかとても格好いい響きがあります。アーティストという言葉が「芸術家」のことだからでしょうか。単に音楽をやっているというだけでなく、そこに何か表現者としてのこだわりとかプライドとかいったものを持っている人という感じです。またそのこだわりやプライドを作品やパフォーマンスとして実際に実現出来ている人のことなのではないでしょうか。


一方、ミュージシャンという言葉もあります。こちらは何となく、とにかく「音楽をやっている人」というイメージを持ちます。表現者としてのこだわりなどよりは、どちらかというと、ひたすらに職人的に音楽をやっています、という雰囲気を感じる言葉です。それはそれで、アーティストというのとはまた違った格好よさがあると感じています。


そして、ふと思ったのですが、アーティストというのは何となく自分からは名乗りにくい感じです。「音楽アーティストをやってます」というとちょっと気恥ずかしいというか、自意識過剰な感じになってしまうような気がします。

 

アーティストというのは「芸術家」を指す言葉なだけに、本人がそう名乗るというよりは、まわりがその人を「芸術的な人だ」「表現者だ」と認めて「あの人は音楽アーティストだ」という風に呼ぶのが自然だと思います。本人がいくらそのつもりでも、周囲がそう感じていなかったら、アーティストと名乗っても空回りしてしまうに違いありません。


その点、ミュージシャンという言葉の方が自分としてはずっと使い易いと言えます。ミュージシャンと名乗っても「ああ、音楽をやっている人なんだ」と周囲からも割合に抵抗なく受けとってもらえる気がします。


ミュージシャンと名乗りながら、自分のやりたい音楽を一心にやりながら、いつか気づいたら、まわりの人が自分のことを「音楽アーティスト」と呼んでくれるようになっていた、そんなのが一番格好いいあり方なんじゃないかな、と思っています。