音楽アーティストに作り上げられたスタイル

ギャロッピングスタイルは低音弦でベースラインを弾きながら、高音弦でメロディーを弾くギター奏法である。もともとカントリー系のギタリストが得意とするスタイルで、これらの奏法はロカビリーのグループのギタリストにも多用されている。ギャロッピングスタイルはコードフォームも右手のピッキングスタイルも複雑で、独特な指使いに辟易とするアマチュアプレイヤーも多い。

 

特殊な双方を完全にマスターすることは至難の業で、長年の経験と練習の積み重ねが必要である。完璧にマスターすることは難しくても、そのエッセンスを取り入れることはそれほど難しいことではない。経歴の長い音楽アーティストは様々なスタイルの奏法を駆使することができるが、それ以上に曲にエッセンスをちりばめるセンスは非常に鋭い。経験豊富なアーティストであれば、ボーカリストやその他のミュージシャンの演奏に独特な彩を加えることができる。ドラムもベースも他のメンバーもいない場面で単独で伴奏をつける演奏は、音楽アーティストにとっての真骨頂である。

 

ミュージシャンはもともと即興演奏において真価を発揮できる人が多く、インプロビゼーションの内容が饒舌であるほどジャムセッション的な演奏においても曲としての完成度を高めることが可能である。音の羅列であるかスケールを披露しているのか、運指だけが異様に速いギタリストがいるが、どんなにスピードがあってもサックスプレイヤーのような滑らかなフレージングでなければ聴く人の心をとらえることは難しいだろう。

 

完璧なギタースタイルは時に独自性を失わせ、聴くものを退屈にさせる。完璧にギャロッピングをマスターしていも、演奏が単調ではそのスタイルが生きてくることはない。あたかも二人で弾いているような演奏は、もしかするとギターを弾かない人には理解できない素晴らしさなのかもしれない。スタイルをテクニックととらえずに表現できることこそが、音楽アーティストが誰にも認められる存在である証なのかもしれない。