音楽アーティストが選んだ楽器へのアプローチ

音楽アーティストのシグネチャーモデルを手にすると、そのアーティストを身近に感じ取ることができます。気に入ったミュージシャンと同じ楽器が所有できることは、大きな喜びとともに少なからぬ絶望も感じてしまいます。

 

一般的なセッティングは楽器の弾きやすさを求めたものになっており、出力されるサウンドは二の次になっています。音楽アーティストの楽器のセッティングは楽器自体のピークを引き出すように調整されていて、楽器の弾きやすさも考慮されています。最良な状態が得られた楽器の音色は他に比べようもないほど澄んでいて、クリアーであっても減衰することなく音は伸びます。

 

トーンセンスの鋭い音楽アーティストは使用する楽器の状態をよく把握しています。セッティングもシンプルな傾向になることが多く、楽器の特性を生かしたプレイスタイルを確立しています。プロのミュージシャンと同様の楽器を使用するためには自分らしいプレイスタイルを完成させておくことが必要です。

 

シグネチャーモデルは本人と同じ演奏ができるわけではなく、トータルな楽器としての完成度を実感することでプロとしての道具がいかに重要であるかを理解することができます。ボーカリストであれば独自の歌唱法を模索しますが、ミュージシャンであれば持っているセンスをいかに表現するかに心を砕きます。

 

ギタリストであれば技術的に高度な演奏を習得するために長い時間をかけて練習します。技術的な演奏が早いフレーズを中心にしたスピードを重視したものか、ビブラートなどを中心にしたフィンガーテクニックを中心にした奏法を選ぶかは人により判断が異なります。速く弾くことができれば注目を集めることは可能ですが、すぐに息切れを起こしてしまう可能性があります。

 

難解なフレーズの習得は達成感とともに充実感もあります。自己満足度も高くなりますが、ビブラートなどのフィンガーテクニックを身に着けていなければすぐに行き詰る可能性があります。